【第17回/後編】模擬国連2022年世界大会事務総長補佐・ヒキタキーシャさんの想いに感服!
2021.07.02 / 最終更新日:2021.12.16
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模擬国連とは
簡単に言うと、参加者が担当国(出身地とは異なる国)の外交官になりきり、国連の会議や国際会議のシミュレーションを行う活動。人権や環境など多岐にわたる国際問題が取り上げられ、それらの解決への合意形成を図るにあたって実際の国際問題や国際政治の仕組み、担当国の歴史や政策などをくまなくリサーチし、多様な視点で世界を捉えること、そして議論の場での交渉力をはじめとした幅広い能力・資質が必要となってくる。
前編(→もう一度読みたい方はこちら )に引き続き、 そんな模擬国連の活動に KCUFS MUN Communityの一員として 1年次から尽力し、 2022年11月に 神戸市内で開催予定の模擬国連世界大会(National Model United Nations=NMUN)では 事務総長補佐としてこの国際的な一連の会合に携わる国際関係学科3年、ヒキタ キーシャ ロレーヌ サントーヨさんにインタビューしてきました!
そういえば、”事務総長補佐”ってどんな役割?
キーシャさんにお話をうかがう前に、事務総長(Secretary General)・ 事務総長補佐(Assistant Secretary General)についてまずは四角の中の説明をお読みいただきたい。
事務総長・事務総長補佐
模擬国連世界大会(NMUN)の運営の主力を担い、さらに会議に向けた準備の段階から大使団として大会に参加する模擬国連コミュニティを統括する役割を任されている。
なるほど。って、え?世界大会の運営までしちゃうんですか?
そうですね、そして来年秋(11月)の開催を見据えてもう徐々に動き始めてます。
なんだろう。私と同学科同回だというのに、今後1年間の過ごし方がこうも違うのか…
いやぁ、いつ卒論書いていつ就活のための時間を取ればいいかわかりません…
つい本音が…(笑) まあほんとにそうですよね。
しかも運営関係以外では、大使団の統括 とありますが…
そうそう。ニューヨーク大会やJUEMUN(日本大学英語模擬国連大会)といった模擬国連大会に出る際、自分も一国の外交官役として参加しつつ、アドバイザーとしてチームを支えていきます 。
前編でも触れた2021年模擬国連NY大会(オンライン開催、NYとの時差を考慮し神戸市外大メンバーは舞子ビラホテルへ滞在)。実はキーシャさん、既にチームのまとめ役としてこの大会に臨んでいた。
模擬国連で最大限のパフォーマンスを発揮するにあたって、事前に入念な準備が必要であることは前編でうかがったのですが、上級生目線での準備期間はまた一味違うのでは?
メンバーは模擬国連に必要な力をつけるべく3ヶ月間の授業に参加するんです。この授業を作っていくのが私たち経験者 。
はい。NMUNでは、先生方には議論に参加しアドバイスや作成した文書の最終確認をしていただくのですが、基本的に授業の準備は学生が行います 。
これまた経験者にはハイスペックさが要求されますね。特にリーダーの皆さんは。
そこが難しいところ でもあって。個々人のモチベーションの違いや、人間関係など他のことも考慮する必要が あったり。ほかの学生が取りこぼした箇所をカバー して解決策を一緒に探っていく のも私たちの役目で。
頼れる上級生…。と、ここまで聞いていて思ったのですが、ぶっちゃけ模擬国連の活動をしていく中でストレスが溜まっちゃう ことって?
そうですね(笑)うまくタスクを分け合ってはいるんですが、それでも精神的に疲れてしまうことはもちろんあります…
いくらエース級外大生とはいえ、やはりしんどいものはしんどいんですね…。そんなとき、再び気持ちを上向きにさせる には?
私の場合、家族や模擬国連メンバー以外の友人にも今の心情を打ち明けることで悩みを抱えすぎないように しています。親身になって話を聞いてくれる周りの方々に感謝しています…
他には、24時間完全オフの日を作って、しっかり睡眠を取ったりドラマ観たり。どうしても行き詰まってしまった時は、PCの作業画面から離れるのも大事かなぁ 。
なるほど、モヤモヤを抱え込むのは体に毒ということですか。いかにうまくリフレッシュできるか が大切そうですね。
しっかりと役割を果たすのはきっと簡単なことではないでしょうが、チームのまとめ役として仕事をしていく中での「やりがい」はどんな時に感じますか?
1年生の私ができなかったことを今の私が後輩に教えている、こんなとき自分の成長を実感 できますしそこにやりがいを感じます。また、後輩の成長を感じることもやりがい ですかね。
いやあ、自分のみならず後輩の成長もやりがい だとは。本当に精神年齢おいくつですか…
模擬国連の活動を通して学んだ ”リーダーの在り方” とは?
模擬国連の活動を通して学んだこと・身についたこと というのは?
まず第一に、私なりのリーダーの在り方 を見いだせました!
正直、「リーダーシップ」の考え方って十人十色だとは思うんですけど、自分なりに自信をもってこれを述べられるようになったんです。
模擬国連コミュニティを支えてくださる恩師・Michael Hollenback准教授(写真中央)、そして大切な同期メンバーの1人で事務総長・辻岡千明さん(写真左)と。
チームをものすごいエネルギーで牽引する力も大事でしょうが、何よりチーム内のメンバーひとりひとりを尊重し、それぞれが持ってるものを引き出す力 がかなり重要で。常に全体を見渡しつつ、個々に寄り添って進めていく 。しかもポジティブさ を忘れずに。それが私の思うリーダーの在り方です。
そうやって、決まった答えがない模擬国連だからこそ失敗を恐れずに挑戦できる環境づくり を心掛けてますかね。
え、2021年度版上司にしたい外大生大賞ノミネート確定です。こうした立派な考えもこれまでの経験の賜物なんでしょうね。
はい。英語の4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング) は確実に鍛えられますね。とんでもない量の文を読むので、そこから必要な情報を読み取る能力 も合わせて身につきました。
加えて、模擬国連では他国の外交官役に言われたことを消化するだけでなく、相手の意見にすり合わせて自分の担当国としての意見をきちんと述べる ことも重要になってくるので思考力 も伸びたと思います。
リーダー力×語学力×思考力 。相当の努力を経て磨きあげられたそれらの力を今後どう活かされるのか、期待しかありません!
きみの”想い” 〜キーシャさんにとって、模擬国連とは?〜
インタビューも終盤に近づいてきました…模擬国連コミュニティの一員として、今後の目標をどうぞ!
大きな目標は、やはり2022年の世界大会を成功させる こと。
先輩から受け継いできたものをフルに発揮できる 場所ですし、2022年以降の神戸市外大の模擬国連の活動にも影響を与えられる はず。卒業して今のチームを退くことを想像すると、悲しくなってしまいますが…。
それだけこのコミュニティに育てられ、切磋琢磨しながら多くの時間を過ごしてきたんですもんね…
「ここで止まったら二度と動けなくなる。」辻岡さん(写真左)との会話の中で飛び出した一言。
「大学なにしました?」「模擬国連です(即答) 」ってなるくらいだから。
むしろ、ここで止まってしまえば二度と動けなくなる… というくらい打ち込みましたね。
ひたむきに走り続けるその姿に込み上げてくるものがあります…
そんなキーシャさんにとって模擬国連とは? ぜひ教えてほしいです!
切磋琢磨し、互いに高め合う。模擬国連コミュニティの素晴らしい仲間たちと共に。
成長できる場所 、かなぁ。これまで話してきたように、人間として も、そして学問を究める 上でも!
素敵な言葉の数々に終始感服させられっぱなし…キーシャさん、ありがとうございました!
そして最後にキーシャさんからいただいた後輩、神戸市外大を目指す受験生に向けたメッセージでこの回を締めくくることにしましょう。
キーシャさんから後輩・受験生へメッセージ
後輩のみなさんへ
模擬国連コミュニティに参加するかどうか迷ったら応募するのが吉。本当に模擬国連の活動を経験しているのとしていないのでは世界や自分自身の見え方が180度変わってきます。
大使として模擬国連に参加する上で国際情勢や担当国の歴史・政策も学ぶので年々知識が積み重なります。そうなると、私たちが暮らす日本の視点だけでなく他地域・他国の視点に立って国際的に報道されるニュースや問題を読みとってみたりなんかもできて。私はここで多角的な視野を手に入れました。
そして、活動を通して自分では気づけない自分の強み、弱みがわかるし成長できる場になるんです!
1度きりの参加で辞めてしまう学生も実際にはいますが、私は途中で弱音を吐いたりしながらも続けることで忍耐力が付きました。模擬国連は将来「点」と「点」とをつなげるとき、必ず活きてくる経験になるでしょう!
神戸市外大の受験生に向けて
最後まであきらめないで!私の場合、センター試験(今は共通テストか…)のみに重きをおかず、自分の強みを発揮できる推薦入試に挑みました。今の段階で自身の持ち味がわかっている人はそれを最大限活かしてほしい。新しく始まったAO入試もあるし。「こうじゃないといけない」みたいな常識を破っていきながら自分の理想に向かって突き進んでいってほしいです!私はそれを実行して今があります。
2週にわたってお送りした、きみの”想い”を聞かせて〜2022年模擬国連世界大会 事務総長補佐編〜 。(→やっぱりもう一度前編を読んどこう!という方はこちら )
模擬国連に興味のある人にも、今まで模擬国連の存在自体知らなかった人にも、そして神戸市外大生でもそうでなくても、チームのリーダーとして、 ひとりの大学生として奮闘するキーシャさんの想いが届けば幸いです。
それでは、次回のインタビュー記事もお楽しみに…!
インタビュー・文責: 国際関係学科 ゆい
高校時代、英語よりも国語の偏差値が高かった系外大生。得意分野は論説文・漢文。とはいえキーシャさんをはじめ周りの友人に感化され、大学に入ってからも逃げずに英語の勉強に取り組んでいる。私こそ、友達に恵まれました。受験生のみんな、神戸市外大はいいぞ…。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
鳥取市出身、国際関係学科4年、社会学ゼミに所属するショートカット女子。
小学生の頃どハマりしたのは回文づくり。座右の銘は「できるやればねばれやるきで」。