はじめに
こんにちは!「OBOGによるジョブセミナー JOBinar!」も第5回目!
今回ご講演して下さったのは、映像翻訳のお仕事をされている大久保さんです🎉
動画はこちらから
記事はあくまで講演を簡略化したものです。より詳しく知りたいという方はこちらの学生確認フォームにご記入いただくと、メールにて動画を受け取れます✨
※受け取った動画は外大生限定です!他者に公開しないようにお願いします!
外大生限定動画はこちらのフォームから🎈
それではスタートです!
プロフィール
大久保拓(おおくぼたく)
2005年二部英米学科入学、2010年卒業。
英語が何より苦手だった中学時代に映画を観ていた時、英語と日本語のカッコよさに感動し、映像翻訳に携わりたいと思うようになる。
大学在学中は二部軽音楽部にてギターをかき鳴らす日々を送る。
卒業後5年間、建設業に身を置いた後、(株)ワイズ・インフィニティに入社。現在は、制作部で映像翻訳案件の演出(チェック・校閲)業務に携わっている。
講演パート
どうやって翻訳者になった?
翻訳者になりたい人のための講座を受講しました!僕は、現在働いている(株)ワイズ・インフィニティの字幕講座を選びました。東京・大阪・名古屋で講座が開講されています。翻訳者になりたい人は一度調べてみてくださいね✨(HPはこちら)
働いてるのはどんな会社?
(株)ワイズ・インフィニティは2000年設立で、映像翻訳はもちろん、放送翻訳、文書翻訳、スクール事業、クローズドキャプション制作(詳細は後ほど)などを行っています!50もの国と地域の言語を取り扱っていて、中にはそれまで聞いたことのなかった希少な言語もあります😲
まずは基本の映像翻訳。あの作品の字幕も!?
映像翻訳の種類は大きく、エンターテイメント系、ビジネス系、放送系に分かれます。
*エンターテイメント系
コロナ禍での巣ごもり需要によって、Netflixなどで配信されるドラマや映画などの字幕作成の需要が大きく増えました!多くの翻訳者がこのような配信系の作品に携わっています。
*ビジネス系
企業からの依頼に応えます。製品のプロモーションビデオや会社説明、ウェビナーなどに日本語字幕をつけています。
*放送系
ニュースから、ドキュメンタリー、バラエティまでジャンルは様々です!
<ニュース>
オンエア前の急な仕事にも対応できる、放送翻訳に特化した翻訳者がいます!映像の翻訳以外にも、海外の新聞・ニュース番組のリサーチや関係者への取材などもします🌟
<ドキュメンタリー、バラエティ>
テレビ番組はもちろん、海外ロケ映像やアーティストのインタビュー映像を翻訳したりします!
もちろん文書も翻訳!
パンフレット、チラシ、取扱説明書、ウェブサイト、などなど!多いのは、映画祭のパンフレットや化粧品のチラシです。
字幕ONで現れる字幕、クローズドキャプション
クローズドキャプションとは、聴覚障がい者向け字幕のこと。テレビ、YouTubeをはじめとした媒体で近年依頼が増えています。総務省が、できるだけクローズドキャプションをつけることを努力目標として掲げているからですね。
(筆者補足…クローズドキャプションに対し、視聴者全員に見える、テレビのテロップや海外映画の日本語字幕などはオープンキャプションと呼ばれる。)
翻訳の基本的なルール3つ!セリフ1秒あたり…?
①セリフ1秒につき 4文字
②句点(。)と読点(、)は使わない。句点は全角スペース、読点は半角スペースで表します。…は言い淀みや、文の途中までしか話していないときに使います。
③基本、画面中央下部に最大13文字×2行で表示
~ちなみに~
今回の講演では、ある映画の数か所を翻訳しました。言いたいことを簡潔に日本語で表現するのが難しかったですが、みなさん、工夫した訳を発表してくれました!
字幕作成で大事なこと!黒子に徹するスペシャリスト
①映像の邪魔にならない
字幕はあくまでも黒子の存在!視聴者や観客が演技やストーリーに集中できるよう、何も考えなくても字幕が頭に入ってくるのがベスト!✨
②カッコつけない
難しい言葉やカッコつけた言葉だけを使うことは、作品を勝手に脚色して作品を傷つけることになる!作品や登場人物の雰囲気を感じ取りながら「こういう時、普段どんな言葉を使う?」と考えることが大事。
③キャラクター設定、表記に一貫性をもたせる
・人称は基本固定。
・ひらがなやカナ、漢字は一度使ったものから揺らさない。
例:一度「まずい」と表記したら、その作品では「マズイ」は使わない
Q&Aパート
ここからは当日に出た質問の一部をご紹介していきます!
(広報の文言に)「語学力がなくても」大丈夫とありましたが本当ですか?
翻訳の仕事に携わる上で「TOEIC満点でないといけない」だとか、「英検1級もっていないといけない」というのは一切ありません。もちろん語学力があったに超したことはありませんが、”通訳”と違って”翻訳”は調べることができるので、通訳のような瞬発力は求められません。じっくり丁寧に緻密に仕事をこなせる方が向いています。また語学力はどんどん伸ばせるので、仕事をこなせばこなすほど上達していきます。
さらに最近は英語以外にも、中国語や韓国語の翻訳の需要が高くなってきているので、英語以外の語学も活かせる時代になりつつありますよ!
映像翻訳をしてみたいと思ったきっかけを教えてください。
元々英語が嫌いでした。Be動詞と一般動詞が存在する意味が分からず最初から躓いたのです。ですが映画「アルマゲドン」を見ていて「None of them wanna pay taxes again, ever」(皆の税金をなしにしてくれ、死ぬまで)という訳を見て、「ever=死ぬ?」と引っ掛かり辞書を引いても意味は分からず。Noneがあるので否定形になる、そして「登場人物が死ぬから、ever=死ぬ。これは伏線にした意訳なんだ」と気づいた時、「日本語カッコいい!」と雷に打たれたような体験をし、そこから映像翻訳という職種を知りました。
映像翻訳、放送翻訳、文書翻訳があると伺いましたが、どれが一番難しいですか?理由やそれぞれの特徴も教えてください。
私自身、放送・文書の翻訳経験がないので順番をつけたりはできませんが、どれが楽というものはないということは言えます。チェッカーとしての作業ですが、放送翻訳も文書翻訳も短期間で莫大な量をこなしていかなければならない場合が多いです。
日本語力を上げるため、普段から意識されていることはありますか?
字幕は「書き言葉」に近いです。映画を見る、本を読む、辞書を見てみるなど、とりあえずたくさん言葉に触れて、咀嚼して、自分の中で意識してストックしてください。字幕って、口頭で話している言葉とちょっとだけ違いますよね?吹替はその「話し言葉」に当たります。家族や友人、恋人など、どういうシチュエーションでどういう言い方をするかなど少し意識してみると、意外と面白かったりします。
仕事のやりがいと今後のキャリアについて教えてください。
仕事のやりがいについてですが、僕自身ドラマや映画を観るのが好きなので、作品の翻訳に携われるのはそれだけでもう楽しいです。また、映像翻訳を通して顔を知らない人たちに喜びや楽しみを提供できるのは大きなやりがいですね。次に今後のキャリアについてですが、僕は好きじゃないと仕事は続かないと思っているので、今後も大好きな翻訳の仕事に携わり続けたいです。みなさんも、ぜひ翻訳が楽しいと感じるならばご自身で制作会社など探して、翻訳を仕事にされるといいのでは!と思います。
AI翻訳の性能が向上していますが、それでも人間が翻訳を職業とするメリットをお伺いしたいです。
産業系の翻訳などは、おそらく将来AIに取って代わられる場面が多くなるのではないかなと考えています。現在でもDeepLなど高機能の機械翻訳が出てきていますし、この先もっと進化・改良していくでしょう。ただ、文芸翻訳や映像翻訳に関してはAIは人間の代わりになり得ないと思っています。というのも、文芸や映像翻訳には文字化できない情報が散りばめられているからです。間、表情、キャラクターの心理の機微などなど。これは人間の第6感と言うか、「感じる・察する」ことでしかキャッチできず、それを濾過することで初めて言葉を訳出できるものだと思うので、機械にはたどり着けない境地ではないかと思っています。
改めて動画はこちらから
記事としては以上になります。より詳しく知りたいという方はこちらの学生確認フォームにご記入いただくと、
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